2017.10.20 15:15

【71回県展 特選画廊】(9)洋画「生命いのちのダンス」南千代喜(四万十市)

母性の温かな強さ
 これで絵を出品するのは終わりにしよう。そんな覚悟をもって描いた作品だった。県立美術館への搬入を終え、どこか気持ちが軽くなるようだった。
 
 「特選ということが、まだのみ込めないんです。おめでとう、と言われても人ごとのような」
 
 穏やかな曲線ばかりで描かれている。その色彩構成も、柔らかで優しい。胎児を孕(はら)んだ球体があちこちを浮遊している。とりわけ母性に抱かれた球体は大きい。母性の体温と豊満な腕に守られて、胎児は誕生までの時を安心して過ごしている。
 
 「やはり子どもを産むことのできる女の人は、男の人にはない強さがあるように思うんです」
 
 県展への出品を始めてから14年になる。なぜか今回は絵を描くことがつらかった。初めて生みの苦しみを味わったが、これまでの作品とは違う満足感もあった。
 
 「これで出品をやめようと思ったことを、まだ先生にも言っていないんです。どうしましょう……」
 
 特選という成果に作家の決意が揺らいでいる。


 みなみ・ちよき 1949年四万十市生まれ。武内光仁実践絵画教室に学ぶ。褒状2回。初特選。

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カテゴリー: 文化・芸能県展文化


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